現在ドラマ化進行中の『フィフス・シーズン』は期待しかない!

2016年ヒューゴ賞受賞のファンタジー『フィフス・シーズン(5番目の季節)』(ブロークン・アース―壊れた地球シリーズ)のドラマ化が2017年に発表された。地球規模のファンタジーなので、現在制作中ということはスタートは数年後になりそうだし、日本上陸もさらにその数年後になりそう。しかし、シリーズの大ファンとしては今から楽しみで仕方ないし、なんなら今からドラマを宣伝しまくって、ゼッタイにHuluかNetflixで配信されるようにアピールしたいし、あとで語れる人を増やしたい。

『フィフス・シーズン』ってどんな物語?

あらすじ

『フィフス・シーズン』は今から気が遠くなるほど未来の物語。
数百年に一度、大規模な地殻変動が発生し、数年の暗黒時代が訪れる。これを人類は5番目の季節と呼んでいた。
人類の関心はすべて地と、5番目の季節のサバイバルに向けられていた。

稀に、地震を操れる能力者が産まれる。彼らは地震を止めることができるが、感情任せに地震を生じさせることもあるため忌み嫌われていた。能力者として生まれたダマヤは、この能力がゆえに何度もすべてを奪われ迫害された。だが次第に自分だけがこの壊れた地球から人類を救えることに気づいていく。

黒人女流作家の傑作

『フィフス・シーズン』は、N.K.ジェミシンという黒人女流の作品だ。N.K.ジェミシンにオクタビア・バトラー。彼女たち代表的な黒人女流作家のファンタジー/SF作家は、他のファンタジー/SF作品とは一線を画すおもしろさだと思っている。

よくあるファンタジー/SFものは、それなりに面白いけれど、つきつめればがっかりすることも少なくない。
たとえば世界観。大好きな作品だけど、よくよく見たら、『ロード・オブ・ザ・リングス』も『ハリー・ポッター』も、『ゲーム・オブ・スローンズ』も、同じ世界の別の場所または時代で起きた違うストーリーと言われても、通ってしまうと思うのだ。

世界のファンタジーには主流があり、多くのファンタジーがその世界観を借りて展開されている。
けれど、N.K.ジェミシンの『フィフス・シーズン』も、オクタビア・バトラーの『Lilith’s Brood(リリスの一族)』も、既存のファンタジー世界に頼ることなく、まったく新しい世界を作り出している。

以前、黒人女性は世界でもっとも差別される層だということを聞いたことがる。黒人は差別される。女性は差別される。その両方である黒人女性はもっとも差別されている。だからなのか、既定の価値観を軽く飛び越える作品が登場してくるように思う。

オクタビア・バトラーの『Lilith’s Brood(リリスの一族) 』では、宇宙人が登場する。けれどそれはSFを描くためではなく、人種論を展開するため、宇宙人というツールを使っているのだ。SFありきではなく、人種を語るためにSFを利用している、というわけ。さらにこの小説では今のほとんどのコンテンツでもやっている「地球が大事」「地球だけは手放してはならない」「地球を去っても人類は再び帰ってくる」というテーマすら放棄している。

この作品でも現在の人種なんてとうになくなっている。遠い、遠い未来の人類には新しい人種があるのだ。夫婦のあり方だって違う。未来の世界では繁殖は生き延びるために新たな労働力を確保するために行うものであり、夫婦が繁殖するという選択肢を必ずしもとらなくてもよい。より優秀な遺伝子を他からもらっても構わないのだ。

そして「母なる地球」はすでに人類を見限っている。人類の敵は地球そのものだ。

気になる点も・・・

問題は、これだけのスケールのものがうまくドラマ化できるか。『ゲーム・オブ・スローンズ』よりさらに複雑で作りこまれた世界観だ。『エメラルドシティ』のような失敗にならなければよいけれど。

もう1つはホワイトウォッシング。トゲトゲした髪にブロンズの肌、筋肉隆々の新しい人種ばかりの世界を作るのは難しいと思うが、主要登場人物を全員視聴者ウケのいいホワイトローズにしてしまったら興ざめだ。

本当におもしろい作品は映画よりテレビに現れる時代になった

なお、2015年には『Lilith’s Brood(リリスの一族)』の映像化も始まっていた。
しばらく進行が止まっていたようだが、いよいよ新たな味方も得てプロダクションが進みそうだ。
『Lilith’s Brood(リリスの一族)』の小説は日本語訳がないようなので、ヒューゴ賞も受賞したこの傑作の内容はテレビドラマシリーズでしか知り得ない。早くテレビで見られる日が来ますように。

2018年は、往年の傑作『A Wrinkle in Time(五次元世界のぼうけん)』(邦題がひどすぎて書きたくない!!)もテレビドラマ化される(3月予定)。アメリカの子どもなら、全員が一度は読むんじゃないかってくらいの傑作。日本で言えばクレヨン王国とか、ずっこけ三人組といったところか。
元の小説が1962年に書かれており、時代のためか、社会主義批判が濃厚で今の視聴者層にどう受け止められるか疑問だが、昔あんなに愛読した小説が映像化されるのはやっぱりうれしい。

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