【レビュー】『glee』シーズン2第2話ブリトニースピアーズはカラハラの思い出

カラハラ。昨今やたら増え続けてるハラスメントの中でもっとも恐ろしく、マイナーで、唾棄すべきハラスメントの1つ。

カラオケ・ハラスメント。

それは音痴をカラオケルームに連れ込み歌を強要するという卑劣な行為である。

 

あれは5年ほど前だっただろうか。

あるクソ上司の命令で突然部員全員カラオケに強制参加させられることになった。必ず全員1曲歌えとのお達しだ。

私は、実は帰国子女だ。

8年のアメリカ生活から帰国当時、中学2年生。多感なこの時期アメリカ風を吹かせるとめっちゃいじめられることを学習した私は、年月をかけて完全な日本人へとトランスフォームした。

私の日本人っぷりは、我ながら見事だと思う。

知り合いに会えば3回は頭をカクカクっと下げる。そのナチュラルなムーブメント、ハトの歩行がごとし。この動きを見て誰も私が思春期を全てホットドッグだけ食いながら生きてきた人間だとは思わないだろう。知り合いにも頻繁に「え、帰国子女だったの?」と言われる。帰国子女と知っている人からも「1年くらい行ってただけかと思ってた」と言われる。
しかし、その日本人風のディスプレイの下には確かに帰国子女が潜んでいる。レイチェルばりに自己主張する帰国子女がいる。正直言って白米とかよくわからない。できれば昼食にはワッフルが食べたい。ポテトは野菜です。

何を隠そう私は日本語で小説が読めない。月3冊くらい読むけど全部英語だ。日本のドラマもあまり合わない。そして日本の曲を聞かない。

 

だから純正日本の皮をかぶるチキン系帰国子女である私にとってカラオケは鬼門中の鬼門だ。

流行りの日本の曲を知らない。
でも流行りの日本の曲を歌わなきゃいじめられるんじゃないかと不安。
加えて音痴。

私が知ってる曲なんて、マドンナとか、レミゼラブルとか、アメリカの中年ゲイのセレクトみたいなものしかないのだ。
日本の歌だって、聖子ちゃんとか、日本の中年ゲイみたいなセレクトしかしらない。
クソ上司主催のカラオケの日、私は1人1曲以上ルールのカラオケルームでものすごい考えていた。

BoAはきっともう古い。歌ったらいじめられる。何より歌えない。
いきものがかりっていうグループがいるのは知っている。きっといきものがかりを歌ったらホットだ。でも知らない。
聖子ちゃんなら歌えるけどきっと空気が凍り付くんだろう。

何か、英語で、でも嫌味がない程度に定番で、歌いやすいものはないだろうか。音痴でも、勢いで歌ってイエーイってごまかせる系の奴。

そうだ!ブリトニースピアーズがいる。

定番だし、鼻をつまんで歌えばだいたい誰でもブリトニースピアーズになるじゃないか。

帰国子女な私にとって、ブリトニーでイエーイとならなければ、何でイエーイってなったらいいのだろう、というくらいブリトニーは定番だ。そうだ、ここはブリトニーでごまかそう。ブリトニーならごまかせる気がする

 

Oh Baby Babyのピアノが鳴る。観衆からは「おおーッ」という声が上がる。

そして私のかぼっそい声がもう、めっちゃ気弱に「ぉう、べいびー・・・」と音程を外しながら響いた瞬間、ルームは一気にマイナス60度まで冷え込み、すべてのタンバリンの音が鳴りやんだ。

 

正直言って、語りたくない。思い出したくない。消えたい。
でも今書くことにより私はトラウマと向かい合おうとしている。

 

そこには意地悪お局もいた。ちょっとかわいい年下男もいた。

それらが皆、やるせなさそうに私の方から目をそらして、各々目の前のドリンクに集中している。つらい。

仲のいい者は励ましとも慰めともつかない気弱な笑顔を向けてくる。やめろ、こっち向くな。

 

つらい。何度思い出してもつらい。そして今でもカラオケがつらい。
親し気な仲になるにつれて一度は持ち上がるカラオケパーティー。その時点で私のご縁は終わりだ。ひっそりフェイドアウトさせてもらう。普段ノリ悪くテンション抑え気味の日本人どうしてあそこだけあんなに自分の殻破ってくるんだろう。まっこと不思議である。

 

そんな私にうってつけだったのが『glee』シーズン2第2話。ブリトニースピアーズが登場する回。
「見たくない、見たくない、絶対あの曲出てくるもの」という恐怖を抑え込み震える手で見始める。毛布にくるまって。

『glee』シーズン2第2話あらすじ(ネタバレ)

どちらかというとフィラー回。エマの超ホットな新彼氏カールが登場します。
潔癖でキスすら難しいエマとつきあうだけあって中身もナイスガイの様子。2人が楽しそうにデートに出かける様子をウィルが辛そうに眺める場面などが出てきます。

子どもたちに歯の大切さを啓蒙しに来たカールは、虫歯だらけのブリタニーの治療を開始する。
ブリトニースピアーズの曲をかけて麻酔をかけると、生徒たちはみなブリトニースピアーズの夢を見た。
そして「煽情的すぎる」という教師たちの心配をよそに、全校集会ではブリトニースピアーズのナンバーを披露することにする。

その結果会場のボルテージが上がりすぎ大変なことに。事態を収拾するためスーが緊急ベルを鳴らしたため、カオスとなる。

『glee』シーズン2第2話みどころ

見どころはサンタナとブリタニーのダンス。白いスーツのサンタナとか最高です。

あとはブリトニースピアーズディスり。
レイチェル「私も早くブリトニースピアーズみたいにパパラッチを殴りたいわ」
エマ「ブリトニーはパパラッチを襲っていない時の方がよい曲を出すじゃない」
よく本人が出る回でここまでやったなと。ある意味大人です。
(そういう意味ではブリトニースピアーズ自体自分のトラウマに向かいに来ている感じでしたね)

ちなみに、歯医者にかかったブリタニーが一言。「宇宙人にアブダクションされたときとそっくり。」
そうだったのか…それで…。謎が1つとけた回でした。

『glee』シーズン2第2話まとめ

『glee』は、ただ歌と踊りが楽しいだけでなく、色んな音楽がアメリカでどう受け止められカルチャーにどんな影響を与えているのかがわかるところがおもしろいですね。ブリトニースピアーズは、あの当時のティーンにとっては、「この曲と一緒に育ってきた」ものなんですね。そして子供にとっては過激で刺激的で好ましい、そういう音楽だったわけですね。

ところで、『glee』はさいきんまでシーズン1しかHuluで見られなかった気がするのですが、追加されました?何はともあれ全シーズン見られるようでうれしい限りです。これでつわりを乗り越えます。

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