BBC版『SHERLOCK/シャーロック』シリーズの中でも難解で人気の「忌まわしき花嫁」の解説とネタバレレビューです。
ドラマのスピンオフ映画でテレビ放送されながらも映画でも大ヒットし、エミー賞8部門にノミネートされました。
ではさっそく、最初からご紹介します。
Contents
戻る時計の針
これまでのシャーロックとワトソンの冒険がフラッシュバックのように流れます。
そしてシーズン3の最後。マグヌセンを射殺し、東欧の潜伏任務に向かうこととなったシャーロックにかかってくる電話。兄のマイクロフトです。

「イギリスだ」
そして時間が戻る…
戦争。負傷したワトソン。彼が戻ってくるのは…19世紀のロンドンです。
ワトソンは友人と再会して家探しを手伝ってもらい、まるでパラレルワールドのように奇人シャーロック・ホームズに紹介されます。
その2人のルックスが…
ジョンはシャーロックがあんなに批判した髭を蓄え、シャーロックはオールバック。カンバーバッチはあの髪型が大嫌いだったからよかったですね。『イミテーションゲーム』の彼みたいになっています。

そう告げホームズは立ち去ります。
そしてオープニング。いつもと同じ音楽、でも流れる映像は昔のロンドン。フォントも古めかしく…
新しい事件の始まりとメアリーの不満
時はクリスマス。雪の中、新聞売りがうれしそうにワトソンに挨拶します。
「青い紅玉の評判は上々ですよ。来月も殺人がありますか?」
19世紀のワトソンはブログではなく、新聞に寄稿しているようです。
家に戻るとビクトリア朝ファッションでまるで違和感のないハドソン夫人。
「新しい話を出したのですね。」とジョンに話しかけます。

居間には依頼人だという黒ずくめの怪しい女が立っています。

こんな感じの
彼女を見るとホームズ(ビクトリア朝の彼はシャーロックじゃなくてホームズなのだ)

夫を探して、最後の望みをかけてここに来た。
あなたの香水からわかります。そしてワトソンはそれに気づかないようだ
なんとこの女性の正体はメアリー。
香水に言及していますが、これはシーズン4への伏線です。
「こうでもしないと夫に会えないから。」
いやいやメアリー、家で待ってるタイプじゃないでしょ?ビクトリア朝のメアリーはちょっと違うようです。
言い合うメアリーとワトソンをしり目にバイオリンを弾くホームズ。独り言を言います。

のちに判明しますが、ここはパラレルワールドではなく、じつはシャーロックの精神の宮殿の中なのです!
過去の事件を参考に謎を解き明かそうと、シャーロックが見ている精神の宮殿の内容を、私たちは見ています。
そして入ってくる髭ともみあげを生やしてビクトリアンになったレストレード。

レストレードの目線がお酒に行くことから勤務時間外であることを推測したシャーロック。今日のレストレードの様子はなんだか変です。
「いや、クリスマスのあいさつに来ただけで」

さっさとレストレードの心の内を見抜くシャーロック。
「恥ずかしいんじゃなくて、怖いんだ」とレストレードは打ち明けます。
忌まわしき花嫁
その花嫁は、青白い顔をし、口紅は乱れています。
これはレストレードの話の中。
「お前か?お前か?」と通行に聞きながら、バルコニーから銃を放つ花嫁。

「昨日の朝」
花嫁は、「お前か?それとも…私?」と言うと、銃を口に入れて撃ち、倒れたのでした。

「違う。女性の名はエミリア・リコレッティ。彼女の遺体は安置所に運ばれた。問題はその後だ。」
レストレードの話が続きます。
夜道を歩くのはリコレッティ。自殺した女性の夫です。

「ああ、でもその手間が省けたんだ」
「私を忘れないで」
不気味に響き渡る歌声。白いベールをかぶった花嫁姿の女が、銃を構えながら馬車から降りてきたのです。
「私たちの歌よあなた。結婚式で私が歌った」ベールを開けるとそれはエミリアでした。
(なお、この歌も、シーズン4の伏線です)
「君は死んだはずだ」
駆け寄る警察。しかし警察が何かするより早くエミリアは、
「ショットガン結婚(できちゃった婚のこと)ヨ」と言いながらショットガンを放ち、夫を撃ち殺してしまいました。
「死が2人を分かつまでが2回起きたんだ」とうまいこと言うレストレード。

目を輝かせながら立ち上がるホームズ。ついて出て行ってしまうワトソン。
遺されたレストレードに、メアリーがぽつんと、
「私、女性の参政権運動をしようと思ってるの」
「へー、賛成ですか、反対ですか」
「うん。出てって。」
ビクトリア時代も相変わらずのレストレードです。
と、「これを渡すのを忘れるところだったわ」とハドソン夫人が、メアリーに1通の手紙を渡します。
M
至急
とだけ書かれた手紙を見て表情を変えるメアリー。
「急用があるので、夫に遅くなると伝えてください。友達が困ってるんです。」
「あら、友達って?」
「イギリスです」
「まあ、漠然としてること」
安置所の謎
安置所に行くと…アンダーソンが当番していました。

エミリアの遺体は鎖でつながれていたのです。
「安全のためだ。もっとおかしなこともあったし」とアンダーソンが弁解します。

「えっと、おかしなこと。」
そこに入ってきたのは…男装して付け髭までつけたモリ―!
「私が彼に来てもらった。協力しろ」
モリ―…じゃなくて、フーパーの命令を受けて、ホームズの推理が始まります。

昨晩の女もエミリアだった。夫が確認している。場所の御者も確認している。



シャーロックはミステリー作品なのでお作法として双子はナシです(笑)
するとアンダーソンが…
「死体の指が血でぬれている。ところが、さっきまでそれはなかった。これもさっきまでなかった」
アンダーソンが指さした壁には、血で書かれた「YOU」の文字。


「パパが帰ったとたん鋭い観察が出ましたね」と嫌味を言うフーパー。

さすが女好き(?)。じゃなかった、さすが医者…。

現代の現実と過去のミステリーが交錯するシャーロックの脳内。
マイクロフトの指示
この不思議な事件は様々な新聞紙で一斉に報じられました。
そして数ヶ月とたたぬうちに、5件もの類似した事件が起きます。
慌てるレストレードをよそにホームズは何かの書物に夢中。

と秒で事件解決。

いっぽうワトソンの屋敷。ダイニングテーブルにでベルを鳴らすものの、誰も来ません。イライラしながらもう一度ベルを鳴らすと、嫌々顔のメイドが現れました。

ワトソンのイライラをよそにメイドは素知らぬ顔。
「外出しています」

「知らないのですか?お2人揃うのはめったにないですものね」

「いつ会うんですか?」
ガーン…。するとメイド、続けて
「あ、そうそう電報です。」とワトソンに電報を渡す。そして、「あの、新作読みましたけど私の出番がないんですけど…」

ワトソンが開封した手紙にはこう書かれていました。
ジョン・ワトソン先生
すぐ来い。
できないのなら、それでも来い。



2人がたどり着いた建物には「ディオゲネス倶楽部」の表札。
館内は以上に静か。受付でホームズは手話を使い兄マイクロフトの居場所を確認します。すると受付の男性は突然話を(手話で)ワトソンに向けました。
「ワトソン先生ですね、青い紅玉楽しんでいます」

サムズアップをして去っていくワトソン。
通された場所には、大量の食べ物に囲まれてぶっくぶくに太ったマイクロフトの姿。
なお、原作のマイクロフトが太っているので、このようにマイクロフトが太るエピソードを入れのでしょう。シーズン4でマイクロフトの幼少時代が出てきますが、その時も太っています。



「いや、4年だ」
「4年4ヶ月」
と、シャーロックとマイクロフトは、マイクロフトの寿命を賭けます。
「我々は目に見えぬ敵に脅かされている。敵は至所にいて止められない」と突然意味深なことを言うマイクロフト。



フランス人
スコットランド人か
セルビア人
マイクロフトにはもう敵の正体が見えているのですが、ホームズに裏をとらせる気でいます。

「倒せない。我々は負ける。正しいのは彼らの方だからだ。だがこの事件が君の興味を引くことは保証しよう」
あらたな事件?
場面変わり、レストランでとある貴婦人の相談を受けるホームズ。
「何か恐ろしいことが起きているんです」夫人は怯えた様子です。

「思い出したんです。夫がお兄様の知り合いだと。それで…ただあなたの手に負えるか。神父様にも話すべきかも。」
夫人の回想が始まります。それは立派な屋敷の朝食の場。
カーマイケル氏が朗らかに妻に話しかけます。「どうした、朝から心配事でも?刺繍のこと?」
「からかわないで。」
そんな和やかな様子でしたが、使用人から手渡された手紙を開封すると、カーマイケル氏の顔色が変わります。
「ユースタス、どうしたの…?」
夫のただならぬ様子に、夫人は慌てて子供たちを外に遊びに出します。
手紙に入っていたのは5粒の種。
「これは何?何か意味でもあるの?」
「死だ。いや…なんでもない」
そういうと、カーマイケル氏は出て行ってしまいました。
ところで、このやり取り…ハッとした女性もいるのではないでしょうか。現代女性も経験したことがありますよね。女性の問題をいつも矮小化して「女の問題」にしてしまう男性との会話…実はこれはとてもとても巧妙な伏線なのです…

「夫が処分しました。住所も名前もありませんでした。」

「私が知る限りはありません。」

「それが先の月曜の朝のことでした。そして水曜日…夫が彼女を見たんです。」
再び夫人の回想
目を覚ますとベッドの隣に夫がいない。彼は起きて怯えていた。
「彼女がやってきた。私の罪が追いかけてきた。あれを見ろ。」
カーマイケル氏が指指す先には霧が立ち込める庭。誰もいない。
「消えた。彼女だった。花嫁だった。」


「何も。今朝までは。」
再びベッドに夫がいないことに気付く夫人。窓から見ると、朝霧の立ち込める庭を歩いていました。夫人は夫を追い、庭の迷路に入ります。
「私を忘れないで」
歌が聞こえます。そして横切る花嫁の影。
あの子を覚えていて水車小屋の娘を
夫人がやっと夫を見つけると、彼は花嫁の亡霊と向かい合っていました。
「あなたは誰?あなた何とか言って!」
すると花嫁が言いました。
「ユースタス・カーマイケル 今夜お前は死ぬ」
そして花嫁がそっとベールをあげようとすると夫は卒倒。夫人が振り向いた時には花嫁は消えていました。



カーマイケル氏に会いに行くホームズとワトソン。しかしカーマイケル氏は2人の助けを受け入れようとしません。
「あれは悪い冗談だ。妻はヒステリックなんだ。オレンジの種を怖がるなんて。」

「知らん女だ」

それでも渋るカーマイケル氏。ホームズとワトソンは一度その場を離れます。

その頃夫人は家じゅうのドアと窓にロックをかけました。

オレンジの種はアメリカで復讐を意味する。
銃を持ってきているか?


2人は屋敷のそばの小屋に身を潜めます。
長い夜が始まります。

古い友人同士でおしゃべりか。





君は生身の人間で衝動もあるはずだ。

この会話、シーズン4への伏線と言っていい内容です。
その時大きな物音が。2人が見ると、屋敷のそばに、ベールをかぶった女性透けて見えています。
続けて叫び声と窓が割れた音。2人は窓を割り屋敷の中に入ります。

ホームズは屋敷の奥へ進みます。
再び夫人の叫び声が聞こえます。ホームズが駆け付けると、床には転々と血の跡が。
カーマイケル氏は刺されて死亡していました。




ホームズはひどく動揺しています。それも…ホームズが初めて遺体を見た時、ナイフにはタグがついていたのです。
Miss me?
会いたかった?
交錯する現実
再びマイクロフトの元にいるホームズ。
マイクロフトが聞きます。
「お前の見立ては?お前は深くハマりすぎた。リストは作ったか?すべてのリストがいる。」

部屋に戻り座禅を組むホームズ。心の中で新聞の破片を見ています。そして新聞の下からそっと注射を取り出し膝に挿そうとします。
そこに現れる…モリアーティ。ホームズに銃を向けます。

「君のベッドは快適だったよ。
埃の成分は大変は人間の皮膚だ。だが味は違う。人間は埃と同じで蔓延する。埃は使い古しの人間だよ。人間ってやつは何もピカピカに保てない」
そう言い埃を舐めるモリアーティ。
ホームズ…いや…シャーロック…?もモリアーティに銃を向けます。

「きみはからくりを知りたい。どうしても知りたい。
別の事件を思い出すから?前にも起きた?何の事件だったっけ。覚えてるか?もうすぐ思い出すのに。舌の上まで出かかってるのに。」
そしてモリアーティは舌の上に銃を載せ…

もちろんモリアーティは気にもしません。
「死人がニュー・セクシーだ。」
発砲…でもモリアーティは立ち上がります。

「え…ちょ…おかしい?傷目立つ?髪で隠せるかな…」

「落ちて死ぬのではない。君ならわかるだろう。落下ではない。着地で人は死ぬのだ。」
景色が揺れて歪む…。
場面はいきなり現代。飛行機が着陸します。
そして今直面している危機
飛行機を降りたシャーロックをジョン、メアリー、マイクロフトが迎えます。
しかしシャーロックの様子が変です。

薬でフラフラのシャーロックにマイクロフトは厳しく言います。
「それは記憶術だ。できないこともある。リストは作ったのか。摂取した薬物全部の。」
何度か出てきた「リスト」それは、マイクロフトがシャーロックに作らせていた、摂取した薬物のリストだったのですね。マイクロフトはシャーロックの身を案じてリストを作らせていたのでした。
こう見えて、シャーロックをかわいがっているマイクロフトの本音が垣間見えます。
シャーロックがリストを手渡すと、ジョンはぎょっとした顔をします。

そして…シャーロックは…ホームズは、19世紀に戻ります。再びマインドパレスの中に戻ったのです。

ワトソンがホームズに問い詰めています。
そこに電報。

古い教会で、2人はメアリーを見つけます。
「見つけたの。ここが全ての悪事の中心よ。」
教会の地下に行く一同。
「ホームズさんに頼まれて調べてたのよ。あ、賢い方のホームズさんね。」
そこには、火の回りを黒装束で更新する怪しげな集団がいました。何かを唱えながら並んでいます。
果たしてこの集団とは…
5つの種の謎とは?
幽霊の正体は?
なぜ死んだ女が歩いていた?
モリアーティは生きているのか?
まとめ
アーサー・コナン・ドイルの原作小説にはこのミステリーは登場しません。
ただし、「リコレッティ夫人の幽霊の謎」として言及はされています。
トリック自体はあっと驚くようなものはありませんでしたが、見ごたえのある作品でした。とにかくこのシリーズは面白いです…!悪役も含めてほぼすべての登場人物が大好きになります。そういえば、好きなキャラで心理テストができそう。
ところで、今年の秋はシャーロック祭りですね。
ディーン・フジオカのシャーロックも出だし好調なようです。
せっかくならとことんシャーロックを極めたいという人にオススメなのはこんなドラマもおすすめ。
『SHERLOCK/シャーロック』が好きな人におすすめのドラマ
『ミス・シャーロック』
なんとシャーロックとワトソン両方を女性を演じるのは世界初だったそうです。
2人のヒロインが麗しく、ビクトリア朝じゃなくても見ごたえ充分です。”
『ミス・シャーロック』 は Huluで見られます。
Huluは初回登録後2週間無料で視聴可能。しかも無料期間中に退会するペナルティもありませんので、すべて無料で見ることが可能です!
『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』
こっちの舞台はマンハッタン。ワトソンはルーシー・リューが演じています。7シーズンも出ている人気シリーズです。
『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』 も同じくHuluで見られます!